赤、緑、そして金――12月が近づくと街にあふれるこの3色。ツリーやリース、ラッピングやイルミネーションなど、どこを見ても「クリスマスカラー」が彩りを添えてくれますよね。
でも、なぜこの3色がクリスマスの定番になったのでしょうか? 実はそれぞれの色には、キリスト教の教えや歴史、自然とのつながり、そして人々の祈りや希望が込められているのです。
この記事では、赤・緑・金の色が持つ意味やその背景、さらに絵の具などでこの色たちを表現する方法まで、わかりやすくご紹介していきます。
「毎年なんとなく飾っていたけれど、意味までは知らなかった!」という方こそ、ぜひご一読を。色の背景を知ることで、今年のクリスマスがちょっぴり特別に感じられるかもしれませんよ。
なぜクリスマスは「赤・緑・金」なのか?
クリスマスが近づくと、街中や家庭で目にするのが「赤・緑・金」の三色。この配色にはただの“おしゃれな演出”以上の深い意味が込められています。
たとえば「赤」はキリストの流した血、「緑」は常緑樹のように絶えることのない命、「金」はベツレヘムの星の輝きや富・希望の象徴として、古くからクリスマス文化と共に受け継がれてきました。
赤─「愛」「命」「情熱」の象徴
クリスマスの赤は、イエス・キリストの「愛」や「命」を象徴すると言われています。
キリスト教において赤は特別な意味を持ち、キリストが人々の罪をあがなうために流した血を連想させることから、「犠牲」「慈しみ」「深い愛情」のシンボルとされてきました。
そのため、クリスマスという祝祭の中でも特に神聖で感情的な色として扱われているのです。
また、サンタクロースの衣装が赤いこともよく知られていますが、実はこのスタイルが定着した背景には興味深い逸話があります。
20世紀初頭、アメリカの清涼飲料メーカーであるコカ・コーラ社が冬季キャンペーンの一環として、ふくよかで陽気な赤い衣装のサンタクロースを広告に登場させたことがきっかけでした。
それまではサンタの衣装にはさまざまなバリエーションがありましたが、この赤いサンタ像が世界中で愛されるようになり、今ではすっかり定番となっています。
赤という色は、見る人の心を自然と温め、華やかさや高揚感を与える力を持っています。だからこそ、ツリーのオーナメント、ラッピング、衣装など、あらゆるクリスマスのシーンで積極的に取り入れられています。
特に寒さが増す冬の季節において、赤のあたたかみは視覚的にも心を癒してくれる存在なのです。
絵の具で再現するには?
クリスマスらしい鮮やかな赤を表現するなら、明るく鮮烈な赤系の絵の具、たとえばカドミウムレッド(少しオレンジがかった強い赤)やバーミリオン(朱色に近い柔らかな赤)を使うのがおすすめです。
さらに、より深みを出したいときは、ほんの少し青や茶色を混ぜて、落ち着いたトーンや重厚感を加えると、大人っぽく温かみのある赤に仕上がります。
緑─「永遠の命」「希望」
緑は、常緑樹(エバーグリーン)の象徴色として、冬でも色あせることなく生命の存在を感じさせてくれる特別な色です。
ヒイラギやモミの木などがクリスマスツリーとして用いられるのは、「永遠の命」や「希望」といったメッセージを込めるため。これらの植物が寒さ厳しい冬にも枯れずに青々とした姿を保っていることから、生命の持つ強さや継続性を象徴しているのです。
さらに、緑は自然とのつながりを表す色でもあり、心を落ち着かせる「癒し」の効果があるとされています。真っ白な雪景色の中で、緑が放つ彩りはまるで春の訪れを予感させるような温かみを感じさせ、家の中や街並みに優しさと穏やかさをプラスしてくれます。
クリスマスの飾りつけに緑を使うことは、単なる装飾ではなく、冬の中に生きる力や自然への感謝を込めるという意味もあるのです。
絵の具で再現するには?
深みのあるクリスマスグリーンを作るには、まずビリジアン(青みがかった緑)やフーカスグリーン(黄み寄りの鮮やかな緑)などを基本に選びましょう。
そこにほんの少しだけ青を足せば冷たさを、黄色を加えればやわらかさを出せます。
さらに、ヒイラギの葉のような自然な立体感を表現するためには、黒やこげ茶を少量加えて影を作ることで、濃淡のあるリアルな葉の色合いが再現できます。
金─「栄光」「神聖」「富」
金色は、クリスマスにおいて「神の栄光」や「祝福」「希望」といったポジティブな象徴と深く結びついています。
特にキリスト教の文脈では、東方の三賢者(マギ)が幼子イエスに捧げた贈り物のひとつとして金が選ばれたことが記録されており、そこから「神にふさわしい価値ある贈り物」「神聖な祝福の象徴」として金が特別な意味を持つようになりました。
また、金色は「太陽の光」や「天の光」を思わせる輝きを持ち、クリスマスツリーのてっぺんに飾られる星や、煌びやかなオーナメントに多く使われています。
それは、暗い夜を照らす光、つまり「希望の象徴」としての役割を担っているからです。煌めく金の装飾は、寒く暗い冬の夜に希望と喜びをもたらしてくれる存在でもあるのです。
絵の具で再現するには?
金色をリアルに再現するのは少々難しいですが、絵の具で表現する場合は工夫次第で近づけることができます。まずベースには黄土色(オーカー)を使い、そこにごく少量の白を加えることで明るさと柔らかさを出し、黒や焦げ茶を加えることで深みを演出します。
さらに、金属のような輝きを出したい場合は、アクリル絵の具やポスターカラーなどで販売されている「メタリックゴールド」を使うと、より本物らしい表現が可能になります。
反射光を利用してハイライトを入れたり、光が当たる部分を明るく描いたりすることで、絵の中でも金色特有の“輝き”を再現できるようになります。
クリスマスカラーは心を彩る魔法
これらの3色は、見る人の気持ちを温かくしたり、思い出をよみがえらせたりする“色の魔法”とも言えます。たとえば、赤いオーナメントを見れば子どもの頃のわくわくした気持ちが蘇ったり、金色の飾りに目をやると、冬の夜の静けさと光の温かさが感じられたり。
そんなふうに、クリスマスカラーは私たちの感情と密接につながっています。
まとめ:色の意味を知ると、クリスマスがもっと深まる
赤・緑・金の3色は、ただの“飾り色”ではなく、キリスト教の象徴や人々の願い、自然の恵みといった深い背景を持っています。その意味を知ることで、クリスマスの彩りがより豊かに感じられるようになるはずです。
今年のクリスマスは、飾りやラッピング、手作りカードに「色の意味」を込めてみてはいかがでしょうか?きっと、ひと味違った温かいひとときが訪れるはずです。