茜色の作り方|夕暮れのような温もりを、色で表現しよう

色づくり

茜色は「赤+少量の茶や紫」で再現できる、和のニュアンスカラーです。
絵の具でもデジタルでも、ポイントは“深み”と“くすみ”。
落ち着きと情緒を持つこの色を、あなた自身の手でつくってみませんか?

この記事では、そんな茜色を自分の手で再現する方法を、アナログとデジタル両方の視点から丁寧に紹介します。
「赤を混ぜればできるんでしょ?」と思っている方にも、色のニュアンスを大切にしたい方にも、役立つ内容です。

茜色ってどんな色?―日本の夕暮れを染める伝統色

茜色(あかねいろ)と聞くと、どんな風景を思い浮かべますか?

それは、たぶん秋の夕焼け空や、陽が傾く時間の空のグラデーション。
少し赤みが強く、それでいて穏やかで、どこかノスタルジックな印象を持つ色。それが茜色です。

JIS規格で定められた茜色は「ややくすんだ赤」。
真っ赤ではなく、少し茶色や紫が混ざったような深みのある色味で、純粋な赤とは一線を画します。
伝統色として、日本の文化や情緒の中で大切にされてきた色でもあります。

茜色の歴史と名前の由来―“茜”という植物から生まれた色

「茜色」という名前は、実は植物の名前に由来しています。
その正体は「茜草(アカネソウ)」という染料植物。根を煮出して得られる赤系の染液が、古くから着物や織物に使われていました。

万葉集の中にも「茜色」は登場しており、平安時代の貴族たちにとっては高貴な色のひとつ。
当時は、自然の中から抽出された“色”が今よりもずっと貴重だったこともあり、茜色は高級染色の代名詞でもありました。

つまり、茜色=赤いけど自然のニュアンスをもった、深い色という感覚は、今に始まったものではなく、昔から大切にされていた感性なのです。

茜色と似ている色―紅色・朱色・緋色との違い

「赤系って、似たような名前ばかりで区別がつかない…」という声もよく聞きます。
そこで、茜色に近い色との違いを簡単に整理してみましょう。

  • 紅色(べにいろ):華やかで明るい赤。現代の「赤リップ」に近い印象。

  • 朱色(しゅいろ):ややオレンジ寄りの明るい赤。鳥居や和菓子の赤に多い。

  • 緋色(ひいろ):黄みを帯びた強く鮮やかな赤。炎や情熱をイメージ。

  • 茜色(あかねいろ):赤にくすみや紫みが加わった、夕暮れのような温もりある色。

茜色は、この中ではもっとも“落ち着き”や“深み”を持った色。
目立つ色ではないけれど、静かに印象を残すような存在感が魅力です。

絵の具で茜色を作るには?おすすめの混色レシピ

さて、実際に茜色を絵の具で再現するにはどうすればよいのでしょうか?
基本のレシピはこちらです。

  • カドミウムレッド(朱赤)+少量のバーントシェンナ(茶系)+ウルトラマリン(青紫)をほんの少し

ポイントは「赤」をベースにしつつも、「くすみ」や「深み」を加えること。
茶色や紫が入ることで、赤の派手さが抑えられ、あの夕焼けのような柔らかな印象になります。

さらに、ほんの少し白を加えることで、より自然な色合いに仕上げることもできます。
試しながら、光の加減で表情が変わる“自分だけの茜色”を見つけてみてください。

デジタルで茜色を再現する方法(RGB・CMYK・カラーコード)

デザインやイラスト制作で「茜色っぽい色を使いたい」というときは、カラーコードが便利です。以下の数値を参考にしてみてください。

  • Webカラーコード(Hex):#b7282e

  • RGB値:R:183 / G:40 / B:46

  • CMYK値:C:10 / M:100 / Y:90 / K:10

ツールによっては、名前で検索しても出てこない場合がありますが、「赤+暗めの彩度」「黄よりも青寄りに調整」と覚えておくと近い色が作りやすくなります。

PhotoshopやCanvaなどでは、カラーコード入力でピタリと再現できるので便利です。
背景やアクセントカラーに使うと、温かみと落ち着きが感じられるデザインになりますよ。

茜色が映える使い方―イラスト・インテリア・ファッションに

「茜色って、使うのが難しそう」と思っていませんか?
実は、使い方を少し工夫するだけで、驚くほど印象的な色になります。

たとえば…

  • イラストやデザインでは、人物の頬の赤みや、背景の夕景などに。

  • インテリアでは、クッションや和モダンなアイテムの差し色として。

  • ファッションでは、スカーフやバッグなど、ワンポイントで使うと季節感がアップ。

特に秋冬のコーディネートに取り入れると、一気に深みのある印象になります。
黒・生成り・ネイビーとの相性がよく、品のある“大人っぽさ”が出せるのも茜色の魅力です。

まとめ:茜色は“ぬくもり”と“哀愁”を持つ美しい色

茜色は、ただの「赤」ではありません。
そこには、自然の色から生まれた伝統と、人の心に寄り添うようなやわらかさがあります。

混色で再現するには少し工夫がいりますが、だからこそ「わたしだけの茜色」をつくる楽しさがあります。
夕暮れ空を見上げたとき、ふと心がほっとするように――
茜色には、そんな優しさがつまっています。

ぜひ、あなたの生活や作品の中に、さりげなく茜色を取り入れてみてくださいね。

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