絵の具で作る琥珀色のレシピ|混色から応用まで解説」

色づくり

奥深い「琥珀色」の世界へようこそ

「琥珀色(こはくいろ)」──その響きだけで、どこか温かみや懐かしさを感じる色です。

紅茶、蜜、夕暮れ、木製家具……自然や暮らしの中で見かけるこの落ち着いた黄褐色は、見る人の心にやさしく届く印象を与えてくれます。

この記事では、そんな琥珀色を**絵の具でどうやって作るか?**に焦点を当て、混色の基本から応用テクニックまでを詳しくご紹介します。

アクリル・水彩どちらでも応用できる内容なので、絵を描く人はもちろん、色彩に興味がある方にもおすすめです。

琥珀色ってどんな色?言葉で表すなら?

琥珀色とは、天然樹脂の「琥珀(アンバー)」から名前がついた色で、やや赤みを帯びた黄色〜薄い茶色の中間のような色です。英語では“amber”と呼ばれ、信号の「黄」やウイスキーの色表現などにも使われます。

【色のイメージ例】

  • 紅茶やはちみつのような透明感のあるブラウン系
  • 落ち葉や夕日、木製家具のニス色
  • 琥珀のアクセサリー、アンティーク調の照明

この色は温かみと深みが共存しており、ビビッドカラーとは対照的に、ナチュラルで落ち着いた印象を持たせたいときにぴったりです。

絵の具で作る!基本の琥珀色レシピ

琥珀色を作るには、「黄」+「赤」+「ほんの少しの青(または黒)」という三原色の応用が基本となります。赤と黄の比率によって、仕上がりの雰囲気が大きく変わるのが特徴です。

黄が多ければハチミツのような金色寄りに、赤が強ければ夕焼けのような赤茶寄りになります。青や黒は色味を引き締めるために“ごく少量”を意識することが重要です。

たとえば、ウイスキーのような深みのある琥珀色を目指したい場合は、バーントアンバーやバーントシェンナなどの赤茶系を中心に、黄を足しながら調整します。

逆に、明るくて軽やかな琥珀色にしたい場合は、レモンイエローやゴールデンイエローをベースにすると透明感が出やすくなります。

【水彩・アクリル共通の混色例】

  • カドミウムイエロー(黄)+ バーントシェンナ(赤茶):やや落ち着いた、木のぬくもりを感じる琥珀色に。
  • レモンイエローカドミウムレッド+ごく少量の ウルトラマリン:フルーティーな印象のある、やや鮮やかさを感じる琥珀。

【もっと透明感を出したい場合】

  • 黄土色(オーカー)+ レッド系+ 水で薄めて明度を上げる:紅茶のような澄んだ質感が表現可能。
  • オレンジ系ベース+ 白を混ぜて明るさを調整:キャラメルや蜂蜜のような柔らかい琥珀色に仕上がります。

【具体的な活用シーンを想像してみよう】

たとえば、秋の落ち葉を描くならカドミウムイエロー×バーントアンバーの組み合わせで、温かみのある色合いがぴったり。

紅茶の透明感を表現したい場合は、レモンイエローとローズ系赤にオーカーを加えて水で調整。アンティークの家具やガラス瓶を描くときは、少し黒を足してシックな印象に寄せるのもおすすめです。

絵の具の種類(メーカーやシリーズ)によって発色には個性がありますので、まずはパレットの片隅で少量ずつ試しながら、理想の琥珀色のトーンを探っていきましょう。混色の奥深さを体験する第一歩として、琥珀色はとてもおすすめのテーマです。

より深い琥珀色に仕上げる3つのコツ

  1. “赤み”を足して温かみをプラス: 黄土色だけでは、どうしても「土っぽい」「くすんだ」印象になりがちです。
  2. そこで、バーントアンバーやバーントシェンナ、あるいはカドミウムレッドのような暖色系の赤を少し加えてあげることで、一気に深みと透明感が増し、「琥珀らしさ」がグッと高まります。
  3. たとえば、ハチミツやウイスキーのような雰囲気を出したいときには、この赤みが重要なポイントになります。重ね塗りを重ねることで、光を通すような層の厚みも演出できます。
  4. “透明感”を残すために白は最小限: 色を明るくしたいとき、つい白を混ぜてしまいがちですが、琥珀色に関しては注意が必要です。白を入れすぎると、くすみが出たり、深みが薄れてしまったりするため、明度調整には“水で薄める”という選択肢がより効果的です。
  5. とくに水彩絵の具の場合、淡く重ね塗りをすることで明るさと透明感を同時に表現できます。また、下地の紙の色を活かすという手法も、透明感を残すには有効です。
  6. “焦げ茶”や“グレー”で陰影を足す: 琥珀の持つ立体感や奥行き感を出したいときには、陰影の描き方がポイントです。バーントアンバーやニュートラルグレー、さらにはペインズグレーなどをごく少量加えることで、自然な影が生まれます。
  7. たとえば、瓶の中に光が差し込んでいる様子や、アンティーク家具の光と影を描きたいときには、この陰影表現が欠かせません。あえて境界をぼかしながらグラデーションをつけることで、リアルさが格段にアップします。

琥珀色はどんな場面で活きる?

  • 自然モチーフの絵:木の幹、落ち葉、動物の毛並みなどにぴったり。特に秋の風景や森の中の描写では、琥珀色が木漏れ日や土の質感をやわらかく表現してくれます。
  • アンティーク調の小物イラスト:ランプ、鍵、レトロ家具など、ヴィンテージ感のあるモチーフと相性抜群。光が反射する金属やガラスの微妙な色味を表現する際に、琥珀色は深みと温かさを与えてくれます。
  • ファッション・アクセサリーのデザイン:革製品やガラスの光沢表現に。たとえばブーツや財布の質感、べっ甲風アクセサリーの透明感ある模様などにも適しています。水彩で描けば、しっとりした色気も演出可能です。
  • カフェ・インテリア風のイラスト:木製テーブルやキャラメルラテのような温かい飲み物など、琥珀色が主役になるシーンが多く、暮らしの雰囲気を柔らかく包み込みます。

また、ビビッドカラーとの対比で“静けさ”や“懐かしさ”を強調したいときにも効果的です。たとえば、青や緑の背景に琥珀色のキャラやアイテムを置くと、温かさと印象深さを両立できます。

さらに、夜の灯りのようなシーンや、キャンドルの明かりを表現したいときにも琥珀色は重宝します。静かな情景の中にひとさじの優しさを加える、それが琥珀色の魅力です。。

まとめ:色をつくる楽しさを味わおう

琥珀色は、決まったチューブ絵の具がなくても、手元にある基本色を使って自由に作れる、非常に表現の幅が広い色です。

たとえば、カドミウムイエローとバーントアンバーをベースにすれば「木漏れ日を感じるような柔らかい琥珀色」、レモンイエローとカドミウムレッドを組み合わせれば「透き通る紅茶のような琥珀色」が作れます。

また、ほんの少し黒やグレーを加えることで、「焦がしキャラメル」や「アンティークガラス」のような深みのある琥珀色にも変化させられます。

混色のちょっとした工夫で、印象や質感までもガラリと変えられるのが、この色の最大の魅力。まるで光を内包したような奥行きや温もりを、自由自在に描くことができるのです。

ぜひあなたのパレットにも“琥珀の光”を加えて、作品に深みとやさしさを与えてみてください。きっと、色を混ぜる楽しさや、自分だけの色を見つける喜びを感じられるはずです。

 

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