ゴールド・シルバーの表現方法(絵の具・マーカー編)。

色づくり

「金属の質感って、どうやって描けばいいの?」「黄色と灰色じゃリアルにならない…」

そんな悩みを抱える方に向けて、この記事では絵の具やマーカーでリアルなゴールド・シルバーを描くための技法を、丁寧にわかりやすく解説します。

絵の具の混色、マーカーの重ね塗り、光沢の出し方など、すぐに実践できるコツ満載。金属の輝きは、“色”よりも“光と影のとらえ方”で決まります。

あなたのイラストやデザインに、立体感のあるゴールド・シルバーの表現を加えてみませんか?

ゴールド・シルバーはどう描く?“金属らしさ”を出す基本の考え方

ゴールドやシルバーを描くうえで大切なのは、「金属特有の反射」と「硬さのある質感」を表現することです。

金属面は、鏡のように光や周囲の色を映し込みます。そして、光の当たる部分は非常に明るく、影は意外なほど暗い。つまり、強いコントラストがあるのが特徴です。

さらに、表面が滑らかなほど“光沢感”が強くなり、ザラつきや曇りがあると“鈍い輝き”になります。

この質感の違いは、色の境界のぼかし方ハイライトの位置によって描き分けることができます。

金属らしく見せるには「黄色=金」「灰色=銀」と決めつけず、反射光や映り込みを意識した色の変化を描き込むことが重要です。

【絵の具編】混色で金属感を出す!ゴールド・シルバーの色レシピ

まずは絵の具を使った場合の表現法からご紹介します。アクリル絵の具・ガッシュ・水彩など、どの画材でも基本的なアプローチは共通です。

ゴールドの描き方

  • ベース色は黄土色(オーカー)+カドミウムイエローを少量混ぜて温かみを出します。
  • 影部分はバーントアンバーやセピアを混ぜて深みをつけます。
  • ハイライトにはチタニウムホワイト+ごくわずかに黄を加えると自然な輝きに。

さらに、表面のカーブに合わせて光の帯や白のラインを加えると、金属の丸みや立体感が強調されます。

シルバーの描き方

  • ベースはペインズグレーやブルーグレーでクールなトーンに。
  • 光が当たる部分は白寄りの明るいグレー、影は黒に近い濃いグレーを使います。
  • 時には青や紫の反射色をアクセントに加えると、冷たくリアルな印象に。

水彩で描く場合は、にじみを抑えることで金属の“硬さ”を演出しやすくなります。

【マーカー編】限られた色で魅せる!メタリック表現の工夫

アルコールマーカー(例:コピック)では、絵の具のように色を混ぜられないため、“重ね塗り”と“色の選び方”が重要になります。

ゴールド表現のポイント

  • Y26、YR23、E33 などのイエロー~ブラウン系をベースに使用。
  • 光の当たる部分には明るいY00やYG91などでグラデーション。
  • 境目にE15やE49で影を作ると、立体感と深みが出ます。

シルバー表現のポイント

  • C系グレー(C1〜C7)を使い、グラデーションを意識。
  • 一部にB60やBV23など青みのある色を入れると、クールさが際立ちます。
  • 最後に白ペンで反射光を描き込むと、輝きがグッと引き立ちます。

コピックにはメタリックカラーはありませんが、描き方次第で十分に金属感を表現できます。

金属の光沢はどう作る?ハイライトとシャドウのバランス術

金属に見せるためには、「どこに光が当たって、どこに反射するか」「どれだけ強く光が跳ね返ってくるか」を具体的にイメージすることが最大のポイントです。金属表面は鏡のように鋭く光を反射するため、他の質感に比べて明暗差を大きく取りましょう。

特に重要なのは:

  • 強いハイライト(白や明るい黄色)をエッジをはっきりさせて、シャープに入れる
  • シャドウを思い切って濃く、黒に近い色で描くことで、光との落差を明確に演出
  • 金属の形に合わせて曲線を意識したハイライトラインを描くこと。直線ではなくカーブにすることで立体感が増します

形状別のハイライト例

  • 球体:光源のある位置に小さく強い白い点(スペキュラ)を描き、その下や反対側に“跳ね返りの光”を淡く追加。リムライト(輪郭の光)を入れるとリアル感アップ。
  • 円柱や棒状のもの:縦方向に白いラインをシャープに入れ、中心から両端に向かってグラデーションで暗くする。
  • 平面(プレート)状の金属:強い反射光を斜めに走らせ、明暗の境界をコントラスト強く表現する。

さらに、金属面は周囲の色を映す性質があります。たとえば暖色系の背景であれば、金属の影部分にわずかにオレンジや赤を入れて“映り込み”を再現するとリアリティが格段に増します。

まとめると、金属光沢は「明るさ」「鋭さ」「映り込み」の3点を意識して描くと、ぐっとリアルに仕上がります。

「黄色=金」「灰色=銀」はNG?ありがちな失敗と対処法

初心者が陥りがちな落とし穴が、「金=黄色」「銀=グレー」という単純化です。これは一見わかりやすい色の割り当てですが、実際の描写では大きな落とし穴になります。

この色分けだけでは、平面的でリアリティのない表現になってしまいます。たとえば:

  • 金に黄色しか使わないと“レモン”のように見えてしまう。まるで金属の重厚感がなく、軽くポップな印象になる。
  • 銀に灰色だけ使うと“コンクリート”や“プラスチック”のような質感に見えてしまい、冷たさや光沢感が出ない。

これを避けるには、色のグラデーション周囲の映り込みの再現が必要です。金属は周囲の光や物体を反射するため、完全な単色では存在しません。

実際の具体例:

  • ゴールドの描写では、ベースにオーカーや黄土色を使い、影にバーントアンバー、反射部にわずかな赤や青を混ぜて“周囲の映り込み”を描き込むと立体感が出ます。
  • シルバーの場合、明るいグレーと濃いグレーの間に、青やパープル系を差し色として加えることで、冷たさと光沢感を両立できます。

また、シルバーのハイライトを真っ白で入れる際、単なる白ベタにせず、鋭く切り込む線状の反射にするとリアリティが増します。鏡面仕上げのスプーンや工具などを観察すると、その違いがはっきり分かります。

つまり、一色で塗るのではなく、色幅・明暗差・ハイライトの配置を組み合わせて「金属の個性」を演出する意識が大切です。

もっとリアルに!金属質感を高める小技と描き込みテク

仕上げに差がつくのが、ちょっとした“描き込み”の工夫です。ここではさらに実例を交えて、金属らしさを格上げする具体的なテクニックをご紹介します。

  • 金属表面に微細な“光のゆがみ”や“映り込み”を加える:たとえば、ゴールドの球体に背景の赤い壁や人物の影を薄く入れると「鏡面反射」が再現されます。シルバーなら周囲の青空の色をうっすらとグラデーションに加えるだけでも効果的です。
  • あえて少しの“線のゆらぎ”を残して、手描き感のある味に:完璧な直線ではなく、やや揺らぎのあるラインを入れることで、硬さだけでなく温かみも感じられるメタル表現になります。ジュエリーや装飾金属の表現におすすめ。
  • ハイライトを面ではなく点や線で描くことで、キラリとした印象を出す:小さな白点や短いラインを鋭角に入れると、太陽光の反射や人工照明の“瞬間のきらめき”を再現できます。特にペン先や刃物など、鋭利な金属表現に有効です。

また、背景に暗色を置くことで金属の輝きがより引き立つため、対比を意識した構成も有効です。たとえば、シルバーの指輪を黒い背景に描くだけで、輝きが一層強調されます。

さらに、現実の金属製品(例えばスプーン、金属製カップ、鏡面仕上げの置物など)を観察して、自分の目で「どこに映り込みがあるか」「ハイライトがどう分かれるか」をスケッチするのも大変効果的です。

メタリックカラーを活かす紙選びと下地処理のコツ

意外と見落とされがちなのが、紙や下地の選び方です。

金属の表現には、発色がよくツルッとした面の方が向いています。おすすめは:

  • アクリル絵の具→厚口の水彩紙 or イラストボード
  • 水彩絵の具→にじみを制御しやすいホットプレス紙
  • コピック→スムース系のマーカー紙やケント紙

さらに、下地をあらかじめ明るめの色で塗っておくと、絵の具やマーカーの色が沈まずに発色しやすくなります。

紙と下地の準備は、金属表現の“土台作り”。仕上がりを大きく左右するので、ぜひ丁寧に選びましょう。

まとめ:絵の具でもマーカーでも金属は描ける!コツは「光のとらえ方」

ゴールドやシルバーの描き方には、正解が一つではありません。大切なのは、「光をどう扱うか」「どこに明暗をつけるか」という視点です。

絵の具でもマーカーでも、金属のように見せるための“要素”は共通しています。

  • コントラストの強さ
  • 光沢を意識した塗り分け
  • 色味の幅と映り込み

この3つを意識するだけで、あなたの作品に“質感”が宿ります。ぜひ今日から、紙の上に輝く金属を描いてみてください。

 

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