茶色は「地味な色」と思われがちですが、実はとても奥深く、色彩表現のなかでも調和をとるうえで欠かせない存在です。
赤・青・黄の三原色を混ぜるとできる茶色。しかし、混ぜ方や比率を少し変えるだけで「汚く」見えてしまうこともある繊細な色でもあります。
この記事では、基本的な茶色の作り方から、失敗しないためのコツ、デザインやイラストで使える茶色のバリエーションまでを丁寧に解説。
自然の中にある美しい茶色にも注目しながら、あなただけの“理想の茶色”を見つけるヒントをお届けします。
茶色ってどんな色?──中間色の代表、その正体に迫る
「茶色」と聞いて何を思い浮かべますか?
木の幹、コーヒー、チョコレート、土…。いずれも私たちの生活の中に自然と溶け込んでいる色です。
茶色は“中間色”
茶色は、「赤・青・黄」の三原色を組み合わせて作られる中間色(補助色)です。
つまり、**純粋な色ではなく“混ぜて作る色”**という点がポイント。
色相環でいうと、赤〜オレンジ〜黄のエリアを暗くしたり、補色同士を混ぜたときに生まれる“くすんだ色”とも言えます。
温かみのある万能カラー
茶色は温かさ・安定感・落ち着き・信頼感を表す色として、インテリアやファッションでも人気。
特にナチュラル系や北欧デザインでは、重要な役割を担っています。
原色の組み合わせで茶色を作るには?
赤+青+黄=茶色の基本公式
絵の具でもデジタルでも、基本的に赤・青・黄の三色を混ぜると、くすんだ暗い色が生まれます。
この混色比が適切だと、理想的な茶色になります。
・赤が強いと → 赤茶色に
・青が強いと → 焦げ茶っぽく
・黄が強いと → 黄土色風に
補色の組み合わせでもOK
たとえば、オレンジ+青、紫+黄、赤+緑など補色関係の色同士を混ぜることで、同じく茶色系のくすみ色が生まれます。
💡ポイント:
「原色のどれかが強すぎる」と彩度が高すぎて、濁った感じや違和感のある色になってしまいます。バランスを意識して混色しましょう。
明るい茶色・暗い茶色──トーン調整のコツ
一口に「茶色」と言っても、明るいブラウンからダークなブラウンまでさまざまです。
ここでは、明度と彩度の調整について紹介します。
白を加えて→ライトブラウンに
ミルクチョコレートや黄土色のような明るい茶色を作りたいときは、できた茶色に少量の白を混ぜてみましょう。
やさしく、親しみやすい印象になります。
黒を加えて→ダークブラウンに
黒を少し加えると、重厚感のある**焦げ茶色(ダークブラウン)**に変化します。
ただし、黒を入れすぎるとグレーがかった濁りが強くなるので注意。
グレーを混ぜると自然なトーンに
グレーは色の彩度を落ち着かせてくれる万能選手。落ち着きあるナチュラルカラーを作りたいときに便利です。
色が濁る…そんなときに見直したい3つのポイント
「なんだか茶色が汚く見える…」
そんなときは、以下の3つの点を見直してみましょう。
混ぜすぎていない?
いろんな色を重ねすぎると、混色の鮮やかさが失われ、「灰色っぽい茶色」になることがあります。
できれば2〜3色以内で混色するのがコツです。
色の比率に偏りがないか?
たとえば、青が多すぎると「黒っぽく」なりすぎて、茶色から遠ざかります。
混色中は少しずつ色を足しながら調整しましょう。
使っている素材の違い
水彩絵の具とアクリル絵の具、デジタルの色では発色が異なります。
紙の色や質感も発色に影響を与えるので、環境に合わせた調整が必要です。
アクリル絵の具・水彩・デジタル…それぞれの茶色の作り方
アナログとデジタルでは混色の仕組みが違う
・**絵の具(アナログ)**は「減法混色」:混ぜるほど暗くなる
・**ディスプレイ(デジタル)**は「加法混色」:光を混ぜると明るくなる
これにより、デジタルでは“#A0522D”のように、数値で茶色を再現できます。
一方、絵の具では感覚的な調整が必要になるため、色の理論を知っておくと便利です。
おすすめの茶色作成レシピ(アナログ用)
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あたたかみのある茶色:赤+黄+少量の青
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落ち着いた茶色:オレンジ+青
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ほんのりピンクブラウン:赤+白+少量の黒
デザインやイラストに使いたい!おすすめの茶色カラーパレット
おしゃれに見える茶系カラーを組み合わせて使うと、作品の印象がぐっと引き締まります。
トレンド感ある配色例
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カフェブラウン × ミルクベージュ
→ ナチュラル&カフェ風デザインにおすすめ -
焦げ茶 × 渋緑
→ 和風・大人っぽい雰囲気に -
赤茶 × ゴールド
→ アンティーク感や高級感を出したいときに◎
💡SNSやブログの背景、名刺デザインにも茶色系は重宝します。
自然界の茶色に学ぶ!美しさのヒントは“ゆらぎ”にある
自然の中にある茶色には、ただの単色ではない微妙な色のゆらぎがあります。
木の幹や枯葉の「不完全さ」が美しさを生む
木の幹には、黒ずんだ部分や赤みの強い節など、微細な色変化があります。
これが自然のリアルな美しさにつながっています。
動物の毛並みに見る立体感のある茶色
猫や犬の毛色にも、明るい部分と暗い部分が混在しています。
単色では出せない深みや質感のヒントがここにあります。
まとめ:茶色は「地味」じゃない。調和の美しさを味方にしよう
茶色は、派手さはないかもしれませんが、そのぶん他の色を引き立て、空間に安定感を与える力があります。
混色の知識と、ほんの少しの工夫で、誰でも美しい茶色を作ることができます。
「ただの茶色」ではなく、「自分だけの理想のブラウン」を見つけて、ぜひイラストやデザインに活かしてみてくださいね。