茶色は、たったひとつの色じゃない。
あたたかみのあるカフェラテのようなブラウンから、木の皮のような深い焦げ茶まで──
「混ぜ方ひとつ」でまったく印象が変わる色です。
水彩絵の具や色鉛筆を手に取ったとき、
「いい感じの茶色が出せない…」と悩んだこと、ありませんか?
実は、茶色は赤・青・黄の“バランス勝負”。
ほんの少しの色味の違いが、温かさ・冷たさ・深みを変えてしまう繊細な色なんです。
この記事では、
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茶色の色としての仕組み
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水彩での混色レシピ
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色鉛筆での重ね塗りテク
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自然モチーフにぴったりの茶色のコツ
…などを初心者にもやさしく解説!
読み終えるころには、きっとあなたも
「自分だけの“推しブラウン”が見つかった…!」と思えるはずです。
茶色ってどんな色?──色相・彩度・明度で見る“複雑な中間色”
茶色は、赤や青のような“はっきりした色”とは違って、ちょっとぼんやりしていて曖昧。
でもその分、やさしさ・ぬくもり・落ち着きといった印象を持つ、魅力的な色です。
色相環では“オレンジ系のくすみ色”
茶色は、色相環(いろの輪)でいうと、オレンジ〜赤のあたりの「彩度が低くて明度も低い色」。
つまり、“にごったオレンジ”や“暗めの赤”といったポジションなんです。
このため、茶色は「混ぜて作られることが多い色」。
**純粋な茶色の絵の具がなくても、自分で作れる!**という楽しさがあります。
茶色は「明度と彩度」のバランスが命
例えばこんな色を思い浮かべてみてください:
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明るめの茶色 → キャラメル・カフェラテ・ミルクチョコ
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暗めの茶色 → 焦げ茶・ビターチョコ・木の皮
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赤みが強い → テラコッタ・レンガ色
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黄みが強い → 黄土色・からし色
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青みがある → 渋茶・バーントアンバー
どれも「茶色」なんだけど、ちょっとずつ印象が違いますよね?
この微妙な違いは、混ぜる色のバランス(赤・黄・青)や水分量、重ね方、筆圧によって自在に変わるんです。
つまり茶色は、
**「配合しだいで何通りもの表情を見せるアーティスト」**のような存在。
だからこそ、混色の練習にもぴったりなんだよね!
水彩で作る茶色:赤・青・黄を使った基本のレシピ
水彩絵の具で茶色を作るなら、まず覚えておきたいのは
**「赤+青+黄の3色混色」**という基本ルール。
これをうまく調整することで、自分好みの茶色を作ることができるんです!
レシピ①:ナチュラルな“標準ブラウン”
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赤(カドミウムレッド)
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青(ウルトラマリン)
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黄(イエローオーカー)
この3色を、ほぼ同じくらいの量で混ぜると、
深みのある「標準的な茶色」になります。
木の幹やコーヒーのような自然な色味で、風景にも人物にも使いやすい万能ブラウン!
レシピ②:カフェオレ系の“あたたかい茶色”
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赤(バーントシエナ)
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黄(カドミウムイエロー)
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青(少なめに)
赤と黄を多めにして、青はごく少なめにすると、
まるでミルクチョコレートやカフェオレのような柔らかブラウンに。
優しい雰囲気の人物画、木製の小物、布などにぴったり!
レシピ③:シックな“冷たい茶色”
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青(フタロブルーまたはインディゴ)
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赤(アリザリンクリムソン)
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黄(ほんのり)
青みをしっかり効かせて、渋くてクールなブラウンに。
都会的な雰囲気や、秋冬の風景、影色などに効果的です。
ちょっとしたコツ:混ぜる順番と水の量
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先に明るい色(黄・赤)を混ぜてから、青を足して調整すると失敗しにくい
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水を多めにすると透明感が出て、少なめにするとマットで濃厚に
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パレット上ではなく、紙の上で混ぜると偶然の美しさが出ることも!
水彩ならではの“にじみ”や“ムラ”が、茶色に表情やストーリーをくれるんだよね。
色鉛筆で作る茶色:重ね塗りで深みを出すテクニック
色鉛筆には「茶色」の名前がついた色がたくさんあるけれど、
実は、**既成の茶色を使うだけでは表現できない“深み”や“味”**もあるんです。
そんなときこそ、重ね塗り=混色テクニックが活躍!
基本は「赤+緑」「橙+青」「黄+紫」の補色ミックス
色鉛筆で茶色を作る基本ルールは、水彩と同じく補色の組み合わせ。
たとえば:
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赤+緑(補色同士)=落ち着いたブラウン
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オレンジ+青=ほんのり暗めの茶色
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黄+紫=柔らかい中間トーン
これらを何度も塗り重ねることで、既存の色鉛筆では出せない独自の茶色が生まれます。
重ねる順番と圧のかけ方で印象が変わる
同じ2色を重ねる場合でも、どちらを先に塗るかで結果が変わるんです。
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最初に明るい色(黄や赤)を塗って、上から暗い色(青や黒)を重ねると、色が深く見える
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反対に、先に暗い色を下地にして、上から明るい色を重ねると、やや濁った“自然な影色”に
また、強い筆圧で塗るとマットに、軽い筆圧で何層にも塗ると柔らかな透明感が出ます。
茶色の“質感”を描き分けよう
色鉛筆は、木のざらざら感・土のしっとり感・布のふんわり感など、質感を出すのにぴったり。
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木材なら:オレンジ+青を重ねて、鉛筆の「かすれ」を活かす
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大地なら:黄土+赤茶+グレーで“乾いた感”を出す
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ココアやチョコなら:濃い赤茶をしっかり塗り込んで“濃密さ”を演出
つまり、“どんな茶色を描きたいか”で、使う色・順番・筆圧が変わるんだね。
こんなに違う!「あたたかい茶色」と「冷たい茶色」
茶色って、ただの中間色じゃなくて、
「あたたかい」か「冷たい」かで雰囲気ががらりと変わる色なんです。
「あたたかい茶色」──親しみ・ナチュラル・やさしさ
赤みや黄みが強い茶色は、人の心をほっとさせてくれます。
たとえば:
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オレンジ+黄土色 → 秋の紅葉のような暖かさ
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赤茶+キャラメル → お菓子のようなやさしさ
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テラコッタ系 → 素焼きの器や土壁のあたたかさ
用途:人物スケッチ・カフェのインテリア・秋の風景など、親しみや安心感を出したい場面に。
「冷たい茶色」──都会的・落ち着き・静けさ
青みやグレーがかった茶色は、静けさやクールな印象を演出します。
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焦げ茶+インディゴ → スタイリッシュで知的
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茶+グレー → 渋めで大人っぽい印象
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黒に近いブラウン → 無機質で洗練された雰囲気
用途:都会の風景・男性ファッション・インダストリアルなデザインなど、“かっこよさ”を強調したいときに。
なぜ温度感が違って感じるの?
これは色彩心理学の視点で言うと、
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赤・オレンジ・黄系 → 太陽や火など、あたたかいものを連想
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青・紫・グレー系 → 氷や金属など、冷たいものを連想
つまり、自然や感覚に結びついた“連想力”が、色の印象を変えるんです。
絵の中で「季節感」や「感情」を表現したいとき、
“あたたかい茶色”か“冷たい茶色”かを意識するだけで、完成度がグッと上がるよ!
自然を描くならこの茶色!葉っぱ・木・大地の色づくり
茶色といえば、やっぱり自然の色。
葉っぱ、木の幹、土、枯れ草、どんぐり……
自然をモチーフにするとき、茶色のバリエーションがあると絵にぐっとリアルさと深みが出るんです。
木の幹・枝を描くときの茶色
おすすめレシピ(水彩):
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赤(バーントシエナ)+青(ウルトラマリン)+黄(少なめ)
→ 木の樹皮らしい“こげ茶色”に!
おすすめ重ね塗り(色鉛筆):
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赤茶 → オリーブ → 黒
→ 木の「年輪」や「ひび割れ」を表現しやすい
枯れ葉や落ち葉にぴったりの茶色
おすすめレシピ(水彩):
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赤+黄+少量の青 → 赤みがかった「秋色ブラウン」
→ にじみを活かすと“自然にカサついた質感”が出せる
色鉛筆テク:
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濃いオレンジ → 茶 → グレー
→ グラデーションで“色あせた葉っぱ”っぽさが出せる
土や大地、岩場を描くときの茶色
おすすめレシピ(水彩):
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イエローオーカー+バーントアンバー
→ “乾いた土の茶色”に!
湿った地面を描くときは、青やグレーを足して冷たさを出すのも効果的。
色鉛筆テク:
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ベージュ → ブラウン → ダークグレー
→ ゴツゴツした地面や石の質感にも◎
自然物は“色ムラ”や“にじみ”を活かすとリアルに!
自然のものは、完璧な均一色ではなく、微妙なムラや濃淡があるのが特徴。
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水彩なら、にじませてグラデーションを出す
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色鉛筆なら、ザラっとした紙で“かすれ”を残す
そうすることで、生命感・質感・存在感が絵に加わるんだよね。
失敗しない混色のポイント──濁らせないための工夫
茶色は混色で作ることが多いぶん、**「濁る」「にごる」「よごれる」**という落とし穴も多いんだよね。
でもちょっとしたコツを意識すれば、クリアで深みのある茶色が作れるようになる!
✅ コツ①:使う色は“3色まで”に絞る
赤・青・黄をバランスよく混ぜれば茶色になるけれど、4色以上混ぜると色がくすみやすい。
特に水彩では、余計な色を入れすぎると“ドブ色”になりがち…。
色数は最小限に、目的に合わせて選ぶこと!
✅ コツ②:絵の具の“透明度”をチェック
不透明な絵の具(白や黒、パーマネント系)を混ぜると、にごりやすくなる傾向あり。
→ 初心者は、透明水彩(例:ウルトラマリン・アリザリンクリムソンなど)をメインに使うのがおすすめ。
✅ コツ③:一度に混ぜすぎない
混色は一気にやると失敗しがち。
特に水彩は、ちょっとずつ試して調整するのがコツ!
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まずは2色だけでベースを作る
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足りない要素(明るさ/深み/赤みなど)を後から少しずつ足す
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こまめに紙でテストしながら調整
✅ コツ④:紙の色やにじみ方もチェックしよう
同じ混色でも、紙の白さ・吸収性・質感で仕上がりが変わる!
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白が強い紙だと色が鮮やかに見える
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ザラザラ紙だとムラが出やすく、逆に自然に見えることも
紙選びも「混色の仕上がり」に関わる要素なんだね。
濁らない茶色を作るには、
“色を足す”より“引き算”の感覚で混ぜるのがポイントだよ。
あなたの茶色を見つけよう:お気に入りレシピを記録しよう!
茶色は“混色の魔法”で無限にバリエーションが生まれる色。
だからこそ、自分だけの「お気に入りの茶色」を見つけたら、ちゃんと記録しておくのが大切なんだ。
レシピノートを作ってみよう!
色を作ったときは、ただ“できた!”で終わらせずに
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使った色(赤・青・黄の種類)
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比率(1:1:1、赤多め、など)
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使用した画材(透明水彩・色鉛筆の種類)
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重ね順や筆圧の強さ
…などを、ノートにメモしておくと、次に再現するときに超便利!
小さな紙に塗ってスウォッチ化して貼るのもおすすめだよ!
推しブラウンに名前をつける楽しみも
たとえば…
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キャラメルブラウン
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秋の森ブラウン
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あったか毛布色
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渋カフェチョコ
色に名前をつけると、その色に対する愛着がグッと湧いてくるんだよね。
自分だけの色が、表現をもっと楽しくする
「いい茶色が作れた…!」
その感動が、きっと次の創作にもつながる。
水彩や色鉛筆って、技術だけじゃなくて
**“観察力”と“ちょっとした気づき”**が作品のクオリティを変えてくれるツールなんだ。
そして、茶色はそんな“気づき”を育ててくれる色。
さあ、次はあなたの番!
今日からぜひ、あなたの“推し茶色”レシピ帳を始めてみてね。